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2002-08-20

東京では、雨も風もそれほどではなかった台風だが、その軌跡では非日常な光景を見ることができた。

昨晩、高層ビルがまるで雲の上に伸びているかのごとく隠れている低く重い雲を見られた。

夕方には、会社から見える光景が色褪せたかのごとく一面セピア色に染まり、それがだんだんと薄いオレンジ色が着色され最後には色が失われていった。

そして、会社の帰りに池袋から歩くことになり、マンションの隙間から5、6歩の間にみえた月と雲のコラボレーション。厚い雲がちょうど菱形に裂け、その向こうに幾枚かの薄いヴェールがかかったような中に満月が見えたときは、カメラを持っていないことにちと後悔。

そんなまるで作品であるかの幻想的な光景は、10分後、家の近くで見たときにはすでに1枚の薄い和紙に隠れた朧月へと変化してしまい、ついには捉えることはできなかった。

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