大晦日3大格闘技イベント
観戦記

2004/01/06
by BM

待ちに待った格闘技興行戦争でしたが。
やはり純粋に良い試合を提供できていたのは1つだけだったかなぁ、と。
まあ、予想の範囲だけど(笑)。

軽くそれぞれつについて書いておきます。
ホントは、詳しく書きたいのもあるんだけど…3ついっぺんは無理ッ!(笑)




PRIDE 男祭り2003

吉田vsホイス
ホイスの本気を見た!。
マジガチ!。
ガチガチだった。

試合が始まってビックリした。
ホイスが武道家の誇りとも言える道衣を脱いだのだから!。
これは武道家としてよりも勝負師としての選択だったと思う。
組み合った時に掴まれる道衣は熟練者相手には不利になる。
だから吉田の組み手を恐れて上半身裸になったのだろう。

「道衣は汚い?」
ここで道衣着用による有利/不利について書いておきたいと思う。
道衣を着ていればそれを利用した締め技が使え、相手を逃がしにくいという利点がある。
打撃に対して多少の防御になると言う作用もある。
が、相手が「vs道衣」に慣れているとなると、それらの有利を損なって余りある不利な点が出てくる。
まず「相手に掴まれやすい」。
相手に体をコントロールされやすくなってしまう点がある。
裸の相手を掴むのと服を着た相手を掴むのと、どっちが楽かは考えただけで分かるはずだ。
そして「自分の道衣を使った締め技よりも相手の道衣を使った締め技のが多い」という点。
首の周りに丈夫な布があるのだから、危険度は高いと言える。
先日の柔道世界大会で井上康生が見せた「相手の襟を使っての締め技」が良い例である。
亀状態になろうとした相手を捕らえて一瞬で決めた襟締めは驚愕だった。
こうした点を考慮すると総合格闘技において道衣を着るのは一概に有利とは言えないだろう。
対戦相手によって有利/不利は変わると言える。
ホイスは吉田に対するのに道衣を着ることを拒んだ。
その裏にはこういう理由があったと思われる。
これらの条件を無視して刹那的に”道衣を使うのはズルい!”と言うのは完全なお門違いであると言える。
もしそうならばなぜ百戦錬磨のホイスが吉田と戦うのに道衣を脱いだのか?。
道衣着用に有利な点しか無いならばホイスは脱がなかったはずである。

さて、そういうわけでホイスの取った選択に驚いた。
この時点でホイスが生半可な覚悟で日本に来ていないということが分かった。
そして!
試合開始直後にその思いは一層強くなった。
なんと!開始早々ホイスがあからさまな金的を繰り出したのだ!。露骨!。
狙って蹴る金的を初めてみた(笑)。
本気だ…(笑)。
(いや、まぁ狙ってないかもしれないけどね。その辺はブラジルお得意のマリーシアってヤツで。真相は永久に分からないでしょ。)

もう、ホイスにとって負けは無いという思いが伝わってきた。
それに対して吉田はまだ”柔道家として試合をする”という気でいたのではないだろうか?。
そんなら勝ち目は無さそうだ。
メンタル面の差がありすぎる。
正直そう思った。
開始早々そう思った。

試合はホイスがガードポジションを上手く生かして勝利(…とはいえ、記録上は一応ドローなのだが)。
吉田は効果的にパスすることができなかった。
明らかに吉田の動きは悪かった。
色々と不調の原因はあるだろうが、とりあえず大晦日興行戦争に出てきたことに拍手。
完敗に近い内容だったので、近いうちに再戦があるかもしれない。


近藤有己vsマリオ=スペーヒー
近藤の”不動心”が見えた!。
あせらず、落ち着いてスペーヒーを完璧に仕留めた。
テイクダウンされないボディバランス、もしされてしまっても容易にパスさせないディフェンス。
そして絶え間なく繰り出される連続的かつ必殺の打撃。
下から、横から、手足の隙間から変幻自在に繰り出される打撃でスペーヒーは消耗していった。
最後はサイドポジションから体をねじまげての膝。
エグい角度で入ったこの打撃で見事なフィニッシュを収めた。
(倒れたスペーヒーに獰猛に襲い掛かり、完全に息の根を止めようとした闘志も日本人ばなれしている)

強い。
近藤は進化している。
アブダビ王者の菊田でも、寝技の得意なBTTのスペーヒーでも捕らえることができないディフェンス力。
体重差をものともしない安定した試合運び。
そしてあらゆる体勢から繰り出される打撃。
まさに全局面打撃を完成しつつある。
それを支えているのは間違いなく”不動心”。
鉄の精神を持つ男、近藤有己に注目せよ!!。


桜庭vsホジュリオ
兄ほどとは言わないが、やはりホジュリオは実力者だった。
打撃でもグラウンドでも桜庭を圧倒し、3−0で判定勝ちした。
興味深いカードではあったのだが、いかんせん桜庭が調整不足に見えた。
動きが悪くタックルにもキレがない。
ガードの相手を崩せない。
PRIDEのメインは悲しい結果に終わった。


「吉田と桜庭の哀しい姿」
2人とも動きが非常に悪かった。
11月の疲れとダメージが抜けていないからだろう。
それでも試合に出ざるをえなかった。
そこが2人の悲劇だった。
いくら体調が悪いとはいえ勝負というものには勝ち負けがある(吉田はドローだが…負けに等しい)。
試合に出てしまった時点でそれらは全て言い訳になってしまう。

ファンの期待を一身に受け、大晦日決戦に挑んだ日本人エース2人。
それがお茶の間に無残な姿を晒す。
勝たなければいけない。
勝って欲しいとみんなが思っている。
しかし、そんな予定調和は存在しない。
必ずハッピーエンドで終わるハリウッド映画ではないのだ。
勝負の世界と言うものは非情だ。
真剣勝負の残酷さがこれほど際立った大会も珍しいのではないか?。

これを大晦日に一般大衆に突きつけたPRIDEは”美しい馬鹿”としか言いようが無い(笑)。
紅白を見て頭を空っぽにしている連中に、命の削りあいのガチンコをぶっつけた!。
大馬鹿である(笑)。
届くわけが無い。
せいぜい”勝った方が強い”が届くギリギリのメッセージだと思う。
「吉田弱いなー」
「桜庭も年だなー」
2人が負けてしまっては、それで終了である。
そしてお茶を飲んでハナクソでもほじりながら元横綱と芸能人のママゴト試合にチャンネルを変えるだろう。
ていうかむしろ紅白見るか。

谷川や猪木のようにメインとなるカードに”噛ませ犬”を使えば済む話なのにそれをしなかった。
あくまでも勝敗の醍醐味を追求し、スリリングな試合を提供しようとした。
2人が負けたらイベントは(表向きには)失敗する。
おそらく、そんなことは全て分かっていたのだろうと思う。
(これまでのイベントでもPRIDEは常にマッチメークを大事にしてきた)。
それでも敢えてエース2人に厳しい相手、リアルな相手をぶつけたPRIDE。
最後までPRIDEのやり方を貫いたPRIDE。
お前らは男だ!。
大丈夫、格闘技ファンは分かっているぞ!!。
男祭りは失敗ではない!。
むしろ他との違いを見せつけたという意味では大成功だ!!。

ただ、やるせないのは興行戦争の副産物としてこの2人のカードができてしまった感があること。
3つのイベントが競合という異常事態で無ければおそらく休養していた筈だ。
怪我人だし。
これで怪我が長引いて長期欠場にならないことを祈る。
吉田にはヘビー級GPにも出て欲しいし…。
もっとも引き受けたのはあくまでも選手2人なのだからこれ以上は言うまい。








K−1 ダイナマイト!

中邑vsイグナショフ
序盤から激しいタックルで何度もテイクダウンを奪う中邑。
素質は十分に見せてくれた。
ただ、イグナショフが上手かったのか中邑が技術不足だったのかは分からないが。
ガードポジションからのパスができていなかった。
下からの打撃で中邑もダメージを負ってしまっていた。
イグナショフが出血によるドクターチェックを受けた。
その直後。
イグナショフのヒザが、当たって中邑が倒れた…その瞬間にドクターストップ。
うーん、不透明決着!(笑)
なんでイグナショフが休んだ直後に中邑が止められなきゃいけないのか?。
倒れてすぐ立ち上がってたじゃねぇか。
もう、あからさまに不透明にしようとしてるとしか思えない。
谷川ーーーーーーッッ!!!!。

まぁ、イグナショフの詰めが甘かったとも言える。
相手がグラついた時点で終わらないのが総合格闘技。
あそこはミルコのようにトドメを刺しに行くべきだった。
そうすれば不透明な結果にならないで済んだ筈だ。
ミルコならあのシ−ンで完全に終わらせていただろう。

結局、この試合は後日無効試合となった。
で、再戦だとよ。
おいおいおいおいおい。
これが谷川のシナリオ通りだとしたら嫌過ぎるなぁ(笑)。
最近のK−1は真面目に見れないよ。
ミルコは激怒、魔裟斗は愛想を尽かす、どうなるんだこれからK−1は?。


ホーストvsモンターニャ
K−1から永久追放された男が何故か大晦日にFour Times Championのホーストと対戦!。
こんなミラクルはK−1じゃなきゃ見れませんぜ!。
まさに谷川マジック(悪い意味で)。

予想通りモンタの攻撃はホーストにかすりもしなかった。
絶妙な間合い取りと前後の出入りでモンタを完封して判定勝ち。
いや、して当たり前なんだけども。
ミスターパーフェクトの防御テクニックは衰えていないようだ。
圧巻だったのは接近しながらのモンタのパンチ三連打をパーリング、スウェー、ダッキングで全部かわしきったシーン。
そのまま懐に飛び込んでボディを入れていた。
相変わらず凄ぇー。


中尾vsハハレイシビリ
まぁ、中尾にとっては楽すぎる相手だったかと(ちょっとガファリを思い出した)。
つーかロープ掴みすぎだろハハレイシビリ!。
ルール知ってるヤツ連れてこいよ!谷川ッ!!。

ともかく中尾の身体能力は素晴らしいと言う事が分かった。
タックルに行くスピードが速く、組み合ってからのバランスも良い。
みっちりトレーニングしてPRIDEヘビー級GPに出てこないかなぁ…。
日本人のヘビー級選手には頑張って欲しいところ。


曙vsサップ
1分でスタミナ切れかと思われた曙が2分以上試合を魅せてくれただけで満足。
曙がカウント9で立ち上がった時がクライマックスでは?。
間違いなくこの試合の主役は曙だった。
練習の成果は出ているようなので次に期待。


タイソン
いいからホーストとやれ。








イノキボンバイエ

藤田vsレイ=マーサーの替わりの選手
藤田の相手は「打撃たいしたことない、タックル切れない、掴まれたら何もできない」の三拍子揃った無名に近い総合格闘技ド素人。
ハッキリ言ってなにもしてません。
ええ、なにもしてませんとも。
中尾を避けて選んだ相手がこれかよ!!(怒)。
『中尾が相手じゃ燃えないから』みたいなことぬかしてたじゃねぇかよ!!。
藤田よ!(涙)。

そもそもこのカードのどの辺が”猪木vsアリの再来”なんだよ!!。
知名度に天と地ほどの開きがあるだろうが!!。
”猪木vsアリ2003特別ルール”とか言って、完全にネタじゃねぇかよ!。
もー、ねぇ。
猪木の弟子だからこのイベント出るのは仕方ないとは思うけどショッパいよ!。
ドショッパイ!!。
腐るぞ!藤田!!。

ミルコに挑んでいた時の闘志はどこに行った?。
PRIDEヘビー級GPには出てこいよ!。
(…政治的な理由で出ない気もするが)

恐ろしいことにこれがメインイベント…。
なんちゃってVTは勘弁してください。
総合格闘技全体がボヤけるから。


ジョシュ=バーネットvsセーム=シュルト
実力伯仲、白熱、ラストギリギリでの見事な極め、とこちらは良い三拍子が揃った好試合。
実は大晦日のベストカードだったのでは?(笑)。
バーネットがただの北斗の拳マニアでないことを見せつけた。
格好良いぜ!。

…つーか、このシュルト相手に3連勝してる近藤って実は(やっぱり)凄いな…
(体重差ハンパねぇぞ)


アレキサンダーvsアロウージョ
ヒョードル弟アレキサンダーが潜在能力を見せた。
ぶっこ抜きからの粘りつくような連打でTKO。
パワーとパウンドはやはり光るものがある。


レコvs村上
試合前にメンチを切った村上だが、レコに失笑されていたのが哀れ。
予想通りレコが普通に殴って普通に蹴って普通に終わった。
当たり前だろ。やらすなよこんな試合。


ヒョードルvs永田
ヒョードルvsグッドリッジと同じような展開。
殴る、倒す、殴る、やりたい放題やってTKO。
なんというか、ミルコ戦と同じくこれも永田にとっては先の見えない(やる意味の分からない)試合だったと思う。
それよりヒョードルの右拳大丈夫か?。
何発かパンチ打ってたけど…。



ある意味面白かった!(笑)。
素人がプロ相手に挑んでいくのは初期PRIDEやUFCのような混沌とした魅力があると思った。
まぁ、もうそういう時代では無いんだけど…。
永田、村上、安田と救いようの無い敗北を喫した選手が悲惨だった。
何も次に繋がらない、ただの負け…。
彼らのプロレスラーとしての良さは何にも生かされてないイベントだった。
もうちょっと選手を大事にしてほしい。
合掌。