










| 《特別考察1 PRIDE決勝で何が起こったのか?》 うーん、本当に残念です。ちょっとショックでしたね……ここまで上手く来ていたイベントがこんな結末になってしまうなんて。好事魔多し。いや、格闘技に このような事故は付き物。仕方ないと言えますが……それにしても残念。ここまでDSEがかけてきた労力や、2人のハードな練習を考えると……勿体無い! さて、覆水盆に還らず。では、いったい何が起きたのか。ジャッジやレフリーの裁定は正しかったのか。その辺を検証してみたいと思います。 ◆ストップは妥当か? これは、傷の深さから言うと妥当であると言えます。見た目にも内部にまで届くような裂傷。さらに、いくら止血してもなかなか出血が止まらない。 そして、大事なことはこの傷がバッティングによってできたものであるということです。ルールに無い攻撃でできた傷ですから、それを負ったまま試合を続行することは大変に不公平です。考え合わせると、ストップは仕方ないことだと思います。 逆にこれが出血やカットに至らず、そのまま試合が続けられていたらと思うとゾっとします。止めて大正解。 ◆故意か、偶然か? ハッキリとは言えません。不確実な要素がたくさんありますので、100%と言うことはできませんが、事故の可能性が高いと思います。 バッティングはガードに覆いかぶさってくるヒョードルをノゲイラが半分立ち上がって掴もうとした時に発生しました。実は、これ以前にも試合中にこの攻防は何度か有り、その度にノゲイラは起き上がってヒョードルを掴もうとする素振りを見せていました。 おそらくその行動が偶然に入ってくるヒョードルとかち合ってしまったのでは無いかと思います。 ◆イベント主催者の判断としてはどうか? こうして「事故によるバッティング」ということが分かり、ヒョードルは試合をできない状態だったのですから無効試合にするのは当然だと言えます。 レフリー、ジャッジ、そして高田統括本部長までもがリングに上がって釈明し、謝罪していました。誠実な態度だったと思います。そしてなんとその場で「次のPRIDEで再戦させたい!」とまで公言した。その場でできる最大限の誠意だったと思います。 格闘技のルールを守り。客にたいしてできるだけの誠意を表わし。突発的な事故に良く対応していたと思います。 ルールを破って荒唐無稽な興行をしないというDSEの基本方針、ポリシーを明確に表 現したと言う点は評価しています。PRIDEに対する誠実さ。一過性の騒ぎ──そう、PRIDEヘビー級GP2004のことです──よりも、PRIDEや 総合格闘技の未来を見据えた決断。GPの決着よりもフェアさや選手の生命を上においた考え方。これもまた、PRIDE。これもまた、格闘技の一面。 《特別考察2 ヒョードルとノゲイラを考える》 ◆ヒョードルの弱点? この“事故”によりヒョードルの弱点がハッキリしました。ヒョードルはこの部分をカットし易く、このせいでTKO負けしたこともあります。よって、ヒョードルを倒すならまさにこの一点、アキレスの踵のようなこの一点を狙うのが有効でしょう。 セルゲイ=ハリトーノフは敢えて語りませんでしたが、おそらく彼やパコージンの言う“ヒョードルの弱点”の1つはここでは無いかと思います。ミルコやハ ントといったストライカーがヒョードルと戦うとしたら真っ先にここを狙うでしょう。「ミルコ、ヒョードルを出血TKO」……これは、有り得るストーリーで す。 ◆このまま試合が続いていたら? おそらくヒョードルが勝っていたでしょう。それだけに彼にとってはとても残念な事故だったのではないかと思います。 まずスタンドでの攻防はヒョードルがやや有利でした。そして、ノゲイラはヒョードルの上を取ることができませんでした。さらにキャッチになるほど下から 関節を取ることもできませんでした。ヒョードルは易々とノゲイラの“庭”であるガードの中に入り、攻撃を繰り出していました。 そう、最初に痛烈な打撃が無かったことを除けば前回の試合とほぼ同じ展開でした。ノゲイラが打撃で弱っていなければ次は分からない……と、思いました が、ヒョ−ドルの関節のディフェンス、上をキープして攻撃する能力はやはりズバ抜けています。しかし、ノゲイラは1回戦のハリトーノフ戦でダメージを受け ていたという見方もできます。そう、真の決着はやはりワンマッチでつけるべきなのです。 ……と、書いたらkentaさんから「ノゲイラの評価が低すぎる! シャギャー!!」と突っ込みを受けましたのでちょっとノゲイラについても書いてみます。 ◆ノゲイラの評価 前回の試合よりもノゲイラが動いていたというのが感想です。ただし、試合を優勢に進めていたかというと疑問が残ります。前回の王座戦終了後、ノゲイラサ イド(及びノゲイラ)は『最初のヒョードルのパンチで身体が動かなくなった。だから、あんな試合展開になってしまった』と言っていました。今回は“ビッグ パンチ”を貰っていません。つまり、ノゲイラはほぼ万全の態勢だったわけです(しかし、ハリトーノフにこっぴどく殴られていました……この点は考慮すべき です)。そして、どういう展開になったか。 ヒョードルのゲームプランは明快です。スタンドで打ち勝ち、テイクダウンで上を取り、下から攻めるノゲイラを切ってパウンド。それを的確にこなせば、ま さに横綱相撲で勝利は転がり込んできます。現に、ヒョードルは今までの試合をそうやって勝ち進んで来ました。そして、今回の試合でもそれを実行していまし た。打ち合いで退かず、組み合っても下を取られず、下からの関節を全て凌いでパウンドを落とす。勝利の方程式通り。 対するノゲイラは、確かに前回の王座戦よりも良く動いていました。関節を狙う回数も多く、パウンドも防御していました。しかし、その原因はおそらく“今 回は序盤にビッグパンチを貰ってない”と言う点にあるのではないでしょうか。下に居ては危険な筈なのに、スイープすることも、立ち上がることもできなかっ たのです。ハリトーノフ戦では立っていたわけですから、つまり、これはヒョードルがスイープも立つことも防いでいたということになります。ヒョードルは連 続して圧力をかけ、ノゲイラのガードに易々と入り込んで攻撃を繰り出していました。立とうとすると身体をあずけて地面に倒していました(それがバッティン グ事故を引き起こしたわけですが) つまり、あの時点でノゲイラの進化らしい進化は見えていなかった、いや、見えてはいたけどその部分はヒョードルが防いでいたということになります。 ヒョードルは倒した相手にひっくり返されたり、立たせてしまったりすることを防ぐ術に長けています。あのまま試合が続いていたとしてもヒョードルの攻撃 ターンが長く続いたのではないかと思います。 もちろんノゲイラがそこから一瞬の隙を突いて一本を取る可能性は常にあるでしょう。実は、それは前回の王座戦も同様で。ノゲイラにはその力があります。 それは以前から評価されていることで、特に今回だけそれが見えたということもありません。現にヒョードルと同じくノゲイラを研究しているハリトーノフから は一本を取れませんでした。RTTはかなり柔術対策を練り上げている気がします(レッド・デビルについては不明。これからヒョードルが柔術に弱くなってい くことも考えられます) それよりも今回評価したいのは「自分からタックルに行く」「危ない時は立つ」という意識が出てきたことです。何でもかんでも引き込むのではなく、上を取 り、下になったら逃げるという戦法を取ろうとしている点が良かったと思います。某前田兄貴曰く「ガードなんて殴られ放題のジリ貧ポジションやんけ。もう時 代は終わる」。あくまでも流れの中でガードを使うという意識がノゲイラに芽生えたように思えます。ハリトーノフ戦でその一端が垣間見えました。ベストコン ディションのノゲイラがヒョードルの上を取ったら……面白い展開になりそうです。果たしてヒョードルはスイープできるのか!? そう、つまりは次戦に期 待ってことです! ……と、いろいろな視点からこのノー・コンテストに迫ってみました。残念であり、悔しくもあり、勝利の女神の気まぐれさに苦笑いさせられるしか無い出来事でしたが……。起きたことは、もう、時を遡りでもしなければ消せません。今回の 結果を受け止め、次回の試合に期待しようではありませんか。 |
