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ハッスル

カウント
PRIDEヘビー級GP2004 開幕戦
イベント観戦記
“最高のイベント”
最強の王者を決めるイベントは最高のものでなくてはならない
そんな主催者側(DSE)の意地と心意気
そう、文字通りの『誇り(PRIDE)』を感じさせるイベント
それに全身全霊を持って答えたファイターたち
この世紀の大イベントに参加できて本当に幸せだった
王者よ、美しく咲き誇れ。
この、神が降り立つリングで。
2004/04/25
by
B.M
※注意※
当ページ、及び当サイトはPRIDEとは一切関係無い個人の運営するファンサイトです
質問・ご意見等ありましたらB.M(akugeki@hotmail.com)までお願いします
また、このページの全ての画像、文章は転載禁止です
目次
■序文――ある晴れた昼下がり
前編 イベントとしてのPRIDEを楽しむ
■到着――場内のイベントなど
■散策――会場を一回り
■開幕――出て来いや!
後編 試合詳細レポート
■打撃――第1試合 ヒーリングvs高橋
■超越――第2試合 ハリトーノフvsニンジャ
■仰天――第3試合 シルバvs戦闘竜
■伏兵――第4試合 シュルトvsマッギー
■真剣――第5試合 小川vsレコ
■野性――第6試合 ミルコvsランデルマン
■熟練――第7試合 ノゲイラvs横井
■王者――第8試合 ヒョードルvsコールマン
■総括――逆境論
■序文――ある晴れた昼下がり

(快晴)
――というわけで行って参りました【PRIDEヘビー級GP2004 開幕戦】
もー、なんつーか、すンばらCお祭りだったわけですが、どの辺が素晴らしかったかイベント全体として総括的に書いていきたいと思います
もちろん試合内容も独自の視点で切ってみるつもりです
前編 イベントとしてのPRIDEを楽しむ
■到着――場内のイベントなど

(けやき広場)
2時ぐらいに到着したのですが既に人でいっぱいでした
開演は4時だぞみんな!(←お前もな
なんでこんなに混んでいるのかと、その人ごみに野次馬根性で近付いて見ると……

(PRIDE de ハッスル)
選手がイベントをやっておりました
写真が遠くてちょっと見づらいですが右の方の黒いチョッキを着てるのがウォーターマン
真ん中の青いタンクトップがリデルです
なんでも

と、いうことらしいですが……
……リベル?
道を歩く人の90%以上に『リベルって誰だよ!』とツッコまれていました
つーか、リデルってUFCの選手なのにみんな良く知ってるなぁ
マニアだらけだなこの周辺(当たり前
前からは人多すぎ&整理券無いと入れないので舞台裏から

リベル(←やめなさい)を撮ってみました
28番って、誰だろう?
つーか、どこのチームの(そもそも何のスポーツの)ユニフォームだろう?
スマンす、わからねぇっす
常にヘッドフォンで音楽を聴きながら踊っているリデル
ファンとの握手や撮影にリラックスして望んでいました
なんか、場慣れしてるというか、その辺はやっぱUFCの選手はプロだなぁ、と
PRIDEに欲しい選手だなぁ(ぉ
イベントは大盛況の模様
BTTのマリオ=スペーヒー、ムリーロ=ブスタマンチも上機嫌でした
ファンも楽しんでいるらしく、選手が出るたびにチラホラと掛け声がかかったり、声援が飛んだり
なかでも女子の熱い声援を受けていたのがロン=ウォーターマンの肉体美
分厚い胸板や太い腕に黄色い声が飛んどりましたよ
土産物屋を覗きに行きました
ショップは「日本人選手中心」と「外国人選手中心」に分かれていました
誘導や整理がしっかりしていて買い物しやすかったです
……ところで……

(またもや新選手)
……ハリトノフって誰だ?
ここにツッコんでいる人も結構いました(笑)
GP記念にGPのシャツを買おうとしたのですが、「GPポスター、OFGが描かれているもの」と「3強」の絵柄がありまして、ここで大いに悩みました
大会の記念とするなら「GP」だし、3強が揃う最後の大会かもしれないと思えば「3強」だし……
両方買って握手してくるかとも思いましたが……まぁ、そんな予算は無いわけで……悩みに悩んだ末

やはりGPメインビジュアルの方を
(クッキーはネタとしては必須かと思い)
■散策――会場を一回り
いらないクッキーもゲットしたので会場を回ってみることにしました

(水階段)
さいたまスーパーアリーナは前世紀のバブルの匂いがする(笑)立派な建物で
この階段の横の水が流れる無駄な部分とか陽光をキラキラと反射してて綺麗でした
他にも水を使ったオブジェが多数配置されており、まさにバブリー
入り口付近には選手への応援のぼりが立てられていました

風が強くて良く読めなかったのですが
北野武→大山峻護
立川談志→ボブチャンチン
秋元康→ヘンゾ=グレイシー
とか、そんな感じで
秋元とグレイシーは良く似合うw
また一方にはスポーツ飲料の試飲コーナーがありました

道行く人にZAVASを配っておりました
ご苦労様
ちょっと人込みを離れたところにジャイアント=シルバ発見!

パネルの余りの大きさに風で飛ばされそうになってました(笑)
なんか、TVの収録っぽかったです
浅草キッドがいました
と、いうわけでグルリと回ってみました
この時点でかなり熱を感じましたね
本来、格闘技のイベントなんだから「試合やって終わり」で良い筈
そこに敢えてファン感謝イベントを持ってくるあたりに誠意を感じました
販売されていたグッズはTシャツ、タオル等々どれもクオリティーが高く、名前を借りだだけの粗悪なものは無かったように思います(悩まされたし(笑))
参加して楽しい完成度の高いイベントへと、PRIDEは一歩踏み出したと思います
いずれ、こういったものがレッスルマニアの前の「アクセス」のような大きなイベントに育って欲しいものです
■開幕――出て来いや!
歩き回ってイベントの雰囲気を満喫し、期待が高まってきました
その熱とともに入場
リングを眺める

あそこに神が棲んでいる
いま、ひっそりと闘いの時を待っている
そんなオーラが発せられているように感じました
――まぁ、オーラというか照明かもしれんけど(ぉ
良い雰囲気の中で開演を待ちます
番宣や武士道、ハッスルのプロモが流れてました
小川の試合のビデオが流れ、観衆がちょっとどよめく
いやぁー、しかしあの「グッドリッジvs小川」なんだよねぇー
打撃に対して下向いちゃってて、どーにも不安が残る映像ッ!!(笑)
こんなもん見せるな!と言いたくなるが(苦笑)
まぁ、あの怪力グッドリッジの腕を取った小川だから……上さえ取れれば大丈夫だろう……と、思い込んで心を落ち着ける
イケるイケる(←念じてる
などと電波を放出しているうちに客電が落ちる

(遂に開幕!!)
大歓声&拍手
おおお、ついに待ち望んでいた闘いの火蓋が切って落とされたのだ!!
場内の電飾やリングの飾り、スポットライトは超豪華
ザっと見てもあらゆるところにスタッフがいて会場整理に働いていました
なんて贅沢なイベントなんでしょうか
ここにもバブルの波(笑)
(これもPPVさまさま 視聴してくれてる人、ありがとう!)

高いところから本部長登場!!
文字通りリングの上から挨拶
『男祭りに引き続き、高いところから失礼します!』
高田も興奮気味だ
俺のボルテージも上がってきた
そんな場内の空気を読んでか、高田は短く挨拶をまとめるとアッサリ退がった
そして――そのスピード感をたもったまま、第1試合へとなだれ込んだ!
完璧な流れだ
さぁ開幕ッ!
後編 試合詳細レポート

熱気が高まる中、ついにGPは開幕した
気合十分でリングに乗り込んできたのはヒーリング、高橋の2人
歴史的なイベントのオープニングマッチが始まる…
■打撃――第1試合 ヒーリングvs高橋
ヒース=ヒーリング(アメリカ/ゴールデン・グローリー/184cm/107.5kg/26歳)
高橋義生(日本/パンクラスism/180cm/95.5kg/35歳)
立ち合いの攻防で始まり、打撃戦が展開された
パンチを前面に押し出し、高橋がヒーリングを押し込んで4点ヒザまで持っていった
一発ヒザが入るたびに会場は歓声に包まれた
実績、体格、パワー、レスリング、どの分野でも若干ヒーリングを下回っている高橋だったが
気持ちでは全く負けていなかった
もちろんヒーリングもそれを受けて立ち、素晴らしいファイトになった
そうこうするうちに高橋がヒーリングをフロントチョークに捉えた
渾身の力を込めて締め上げる高橋
顔を歪めてもがくヒーリング
勝利の女神は微笑んだ――かに見えた
しかし、そうはいかなかった
ヒーリングがチョークに耐え抜き、首をぶっこ抜いたのだ
そのまま上からマウントを落すヒーリング
高橋は避けるのが精一杯で、うまくガードポジションでヒーリングを固めることができない
スタミナが無くなったのか、だんだんと高橋の動きが小さくなり、ついにマウントパンチで沈められた
(チョークを極められ無かったことが響いたのだろうか)
ヒーリングが底力を見せ、壮絶な打撃戦を制した
高橋も良い所を見せたのだが、詰めの甘さ、ガードポジションの中途半端さ(スタミナ切れ?)が出てしまった
しかし、魂の感じられる試合だった
勝者ヒース=ヒーリング 1R4分53秒 KO(パウンド)
【2回戦に向けて:ヒーリング】
打撃、寝技への対応を見せて勝ったヒーリング
やはり確かな実力を持っていることを証明した
荒っぽさゆえにできる隙が気になるが、その勢いが爆発すればどうなるか分からない
■超越――第2試合ハリトーノフvsニンジャ
セルゲイ=ハリトーノフ(ロシア/ロシアン・トップチーム/180cm/105kg/23歳)
ムリーロ=ニンジャ(ブラジル/シュート・ボクセ/181cm/101.5kg/23歳)
ハリトーノフはサンボ使いで寝技の選手
ニンジャはシュートボクセで打撃の選手
誰もがそう思って寝技vs打撃の試合を予想した筈だ
掴めばハリトーノフ、打撃ならニンジャ
それが普通の予想だと思う
現に俺もそう思っていた
試合はニンジャのローキックで静かに始まった
ハリトーノフは案外冷静で、ニンジャの打撃の圧力の前にもフットワークを乱さなかった
気が付いてみれば的確にパンチを当てているのはむしろハリトーノフの方だった!
ハリトーノフは一向に組み付く様子を見せなかった
どうも打撃で勝負をつけようとしているらしい
そして、遂にグラウンドのチャンスが訪れた
しかしそれはハリトーノフが狙ったものではなかった
ハリトーノフの打撃を嫌がったニンジャがクリンチ気味にしがみついたところをぶん投げてのテイクダウンだった
打撃の選手をここまで追い込むハリトーノフの確かな打撃技術が明らかにされた
難なく良いポジションを取り、適当に数発パウンドを打ち込むと……
……なんと、ハリトーノフは自分から立ち上がった!!
勝負を捨てたのか?
そう思わざるを得ない行為だった
そのままグラウンドの勝負をしていれば間違いなくハリトーノフが勝っていた場面だった
スタンドに付き合えば逆転ラッキーパンチも有り得る
寝技でそのまま倒した方が間違いなく安全だった
この、GPという舞台で……自らを証明するためにスタンド勝負を選んだハリトーノフの熱さ
その熱さは間違いなくプロ根性と呼べるものだった
格闘家は戦ってるだけで見せることを知らないなんていうアンチ格闘技ファンよ!
ハリトーノフのこの戦いを見よ!
しかし、得意の打撃でボコボコにされたニンジャが……寝技を解放されて立ち上がったとしても、もはや反撃の望みが少なかったのも事実
それでもシュートボクセ魂を見せて打ち合いに応じるニンジャ
そこにも、確かに熱い魂があった
魂と魂のぶつかり合いが繰り広げられた
しかしハリトーノフは非情だった
次第にそれは打ち合いから「打撃のレッスン」へと変化していく
大降りで力任せのニンジャの攻撃を巧みに捌き、ボクサー並のフットワークにディフェンスを見せるハリトーノフ
『ほら、ボディががら空きだぜ!』
そんなセリフさえ聞こえてきそうな見事なボディ打ちでニンジャの動きは完全に止まった
だが、それでもニンジャは戦い続けた
非情なる鬼教官のパンチが彼を完膚なきまで打ち砕くまで――
勝者セルゲイ=ハリトーノフ 1R4分14秒 KO(左フック)
【2回戦に向けて:ハリトーノフ】
間違いなく、この試合からPRIDE3強は4強になった!!
シュートボクセを打ち負かす優れた打撃力
そしてフットワーク、ディフェンスといった確固たるボクシングテクニック
それを嫌って組み付いたものは……サンボマスターとしてのグラウンドテクニックで葬られるだろう
今回、寝技で安定せず、打撃で勝負をつけに来たプロ根性もたいしたものである
もはや誰も彼が“ヒョードル並の実力者”であることを疑うものはいないだろう……
PRIDE鬼教官誕生である
■仰天――第3試合 シルバvs戦闘竜
ジャイアント=シルバ(ブラジル/フリー/230cm/222kg/40歳)
戦闘竜(アメリカ/フリー/175cm/137kg/34歳)
失礼を承知で言わせて貰えば……この組み合わせは試合になっていた!
『某元横綱とはワケが違う!』
という刺激的なコピーで登場した戦闘竜
試合前に四股を踏むのが熱い(笑)
戦闘竜が打撃をかいくぐり、テイクダウンして上を取るまでは良かった
しかしそこで、おそらく練習でも絶対に無かったであろう、シルバの「長いガードポジション」に手こずる
とにかく2.3mのシルバの巨体が戦闘竜の動きを封じていた
戦闘竜の手はシルバの顔にまったく届かず、逆にシルバのパンチが下から当たっていた
恐るべし「長いガード」
そして、なんと、ななななんと、誰も予想しなかったであろう「シルバの下からのアームロック」で決着
ふわー
勝者ジャイアント=シルバ 1R4分04秒 アームロック
【2回戦に向けて:シルバ】
巨人が関節技で一本という衝撃を味あわせてくれたシルバ
やはり、PRIDEに出てくる選手は本当に、本当に練習もしているし試合ができる選手なのだと実感させられた
これ以上の良い証明は無いだろう(シルバには失礼な話だが)
かといってこの強敵揃いのトーナメントで2回戦以降シルバがどれぐらいできるかというと、それはまた別の話だ
隙のあるタイプならば勝算もあろうが……
ともかく、リアルプロレスラーの勝利に拍手を送りたい
■伏兵――第4試合 シュルトvsマッギー
セーム=シュルト(オランダ/ゴールデン・グローリー/211cm/132kg/30歳)
ガン=マッギー(アメリカ/ピット・ファイトチーム/208cm/119kg/27歳)
なんといっても3強を倒すかもしれない最右翼がこの、セーム=シュルトだ
シュルトが来たことによって「3強が決勝戦に残らないかもしれない」などという余計な心配をするハメになった(笑)
それだけ危険な選手なのだ
マッギーが組み合ってテイクダウン、上を取る
おそらくシュルトの打撃を恐れたが故の選択だろう
そこまではマッギーのゲームプラン通りだった
しかし、シュルトは上手いディフェンスでマッギーに容易に攻めさせない
(そう、シュルトはヒョードルに上を取られながらも一本を許さなかった男なのだ)
焦れたマッギーは一か八か足関節を狙う
これが致命傷となった
シュルトがマッギーの足関節の隙を突いてスイープ
そのまま見事に腕を取って一本勝ちした
やはり、よっぽどの熟練者でない限り足関節は危険だ
足関節は失敗すれば相手に容易にスイープを許してしまう
(あの吉田ですらホイスにスイープされた)
今のPRIDEに足を取られて負けるほど寝技が下手な選手というのはなかなかいない
マッギーにしてみれば、シュルトは寝技ができないという読みだったのだろうが…
勝者セーム=シュルト 1R5分2秒 腕ひしぎ十字固め
【2回戦に向けて:シュルト】
これまた寝技を披露してくれたシュルト
シュルトもまた、レベルアップしていた
ますます目が離せない選手になってきた
だが、シュルトの上手さというよりマッギーの軽率さが主な原因だったという気もする
シュルトの真価は2回戦で問われることになるだろう
■真剣――第5試合 小川vsレコ
小川直也(日本/UFO/193cm/115kg/36歳)
ステファン“ブリッツ”レコ(ドイツ/ゴールデン・グローリー/187cm/99.2kg/29歳)
間違いなくこの日一番の声援が飛んだ試合
やはり小川人気は絶大だ
果たして小川は強いのか!?
総合の試合ができるのか?
いや、小川ならやってくれる!
そんな期待と不安が入り混じった複雑な声援が飛んでいった
場内は大歓声
お・が・わ!
お・が・わ!
……えー、わたくし生まれて初めて「小川コール」しました
それくらい小川を応援する気持ちになってました
『プロレスラーは眼中に無い』と言い切るレコ
アイツを倒してくれ!
試合前の顔合わせでもバッチリ威圧しまくる小川
そのキレっぷりは村上以上の凄味!
やってくれる、きっとやってくれると自分に言い聞かせる
しかし、レコのパンチが一発でも入れば……と、手に汗を握る
運命のゴング
――Finally!!(ついに)、小川直也がガチンコ(真剣勝負)に帰ってきた!!
これはもうロックがWWEに戻ってきた以上の興奮ですよ、俺にとっては!!
グッドリッジ戦の時のような危ういところは見られず、フットワークで打撃戦をこなす小川
良いパンチの交換があり、レコもローで間合いを取る
ロープ際の攻防で、なんと小川のパンチがクリーンヒット!
レコ倒れる!!!
場内は大歓声&小川コールの嵐!!
お・が・わ!
お・が・わ!
この時のコールは正真正銘『小川に勝って欲しい』という気持ちからのコールだった
“願い”だった
会場が一つになっていた
そのまま逃げようとするレコを上手にコントロールし、マウントまで持っていく小川
こうなれば柔道王のテクニック全開だ
得意のアームロックを執拗に狙い、嫌がるレコを強引に肩固めで決めて見事な一本勝ち!
よくやった!凄い!
場内総立ち!!

本当に、上から下まで総立ちの状態になっていた
鳴り止まぬ歓声
惜しみなく送られる心からの賞賛
その中心で小川は普段と同じ何気ない顔で立っていた!
自分の嬉しさなど微塵も外に見せず、いつも通りの等身大の小川直也を演じていた
まるで、何事もなかったかのような顔をしている
小川はこう言いたげである
『何? なんかあったの? ただの真剣勝負でしょ?』
究極のプロフェッショナル
アンタは偉い!!
試合後はもちろん「ホーガンポーズ」を4方向に決める
ここでも怒号のような歓声が会場を包む
その瞬間、さいたまスーパーアリーナはMSGを越えたと思う
日本人はPRIDEを世界に誇って良い!
試合後にマイクを握った小川からはプロレスラーらしいコメントが炸裂した
なんと
『5月8日、ハッスル3をよろしくお願いします!!』
である(笑)
これにはびっくり
『勝って嬉しい』などという月並みなコメントは全く無かった
試合のことなどほとんど触れなかった
あくまでもハッスルの宣伝を続ける小川に、さすがの高田も苦笑い!!(爆笑)
これ以上クールな勝ちセリフはなかなかあるまい
『皆さん、分かってますよね?』の名言を炸裂させ、全員起立命令
そうなればやる事は一つしかない
3!
2!
1!
ハッスル! ハッスル!
この男、やりおった!
PRIDEのリングでハッスルハッスルやっちゃったよォォ!!!
小川直也は語らずして『PRIDEなんてアマチュアに毛の生えたもん』という持論を貫いたのである!
勝ち負けなんてどうでもいいだろ?
あくまでも俺はプロレスラー
あくまでもハッスルハッスル
そんな強固な意志を感じさせてくれた
間違いない
小川直也はプロレスを真剣に考えているリアル・プロレスラーだ!
もう一度
3!2!1!ハッスル!ハッスル!
勝者小川直也 1R1分34秒 肩固め
【2回戦に向けて:小川直也】
小川のアームロックはMMA向きの技だと思う
失敗してもリスクが小さい(上をキープしたまま仕掛けられる)のが素晴らしい
それに、肩固めや十字など多彩な技を持っている
打撃も向上しているようで、レコと正面から打ち合った度胸も素晴らしい
こりゃあ2回戦も楽しみだ!
また、場内総立ちで「ハッスル!ハッスル!」をやりたいもんである
■野性――第6試合 ミルコvsランデルマン
ケビン=ランデルマン(アメリカ/ハンマーハウス/178cm/103.5kg/32歳)
ミルコ=クロコップ(クロコップ・スクワッド/クロアチア/188cm/103kg/29歳)
「日本」ハチマキで登場したランデルマン
日本を分かってるんだか分かってないんだか良く分からないが、とにかく凄い気合だ!!(笑)
予想では
ミルコの打撃をかいくぐって組み付くことは可能だろう
そこから極めることができるスキルを持っていればランデルマンの勝利も有り得る
と、書いたのだが、まさにその予想通りの展開となった
まず、打撃をかいくぐっていきなりミルコを捕らえるランデルマン
そのままコーナーに押し付ける
微動だにしない2人
心無い観客からは『何がやりたいんだ、コラァッ!』と罵声が飛ぶ
だが、俺にはランデルマンが何を思っていたのかが手に取るように分かった
ランデルマンはこう考えていたに違いない
『離レタラ、殺サレル』
それは、瀕死の、追い詰められた動物そのものの姿だった
ランデルマンの目は死んでいなかった
貪欲な生への執着に満ちていた
ミルコも困惑したに違いない
なにしろ、ランデルマンはミルコをピクりとも動かそうとしない
それほどランデルマンの押さえ込む力が強いということの証明でもある
内心の焦りが……精密機械を狂わせることになった
ブレイクがかかり、スタンドに戻る
軽快なフットワークからミルコに飛びつくランデルマン!
やはり、ランデルマンのタックルはミルコの打撃より速かった!!!!
対処しようとしたミルコのバランスが崩れた
ランデルマンの圧力を知ったことで逃げ腰になっていたのだろうか?
そこへランデルマンのパンチがヒット!
まさに、動物さながらのスピードだった
ウォーズマンは、キン肉マンに狂わされてしまった!
バラクーダでなくともそう嘆きたくなるような一撃だった
ミルコの腰が砕ける
そのチャンスを、手負いの動物が逃すはずもない
あっという間にミルコをテイクダウンしたランデルマン
そのままパウンド!パウンド!パウンド!
場内は悲鳴と歓声に包まれる
まさか、まさかのミルコ失神KO!!
うーむ
これだから格闘技は恐ろしい……
いや、恐るべきはミルコのスピードをも上回ったランデルマンの集中力、そしてスピードである
並の相手ならばパンチなど出せないタイミングでランデルマンは攻撃した
その野性! 恐るべし!
勝者ケビン=ランデルマン 1R1分57秒 KO(パウンド)
【2回戦に向けて:ランデルマン】
もともと身体能力に関しては誰もが認める存在
その秘めたる爆発力がバッチリとはまった試合だった
今回、ランデルマンが登った山はとてつもなく高い
試合後にランデルマンは
『俺は(ミルコと戦うのが)怖かった』
と、正直に語った
この死闘を乗り越えたことによって身に付いた精神力
“死”を克服した精神力
そして後から技術が追い付いて来れば、ひょっとすると……まさか……
大化けする可能性があり、2回戦以降も楽しみな選手である
いったい、いくつ台風の目があるんだ、このGPは!(笑)
■熟練――第7試合 ノゲイラvs横井
アントニオ=ホドリゴ=ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップ・チーム/191cm//26歳)
横井宏考(日本/チーム・アライアンス/178cm//25歳)
本人曰く『弱そうなんだけど、強い』という横井
会場の期待を背負ってノゲイラに正面からぶつかっていった
若さとパワーで押しまくる横井
横井ペースのようにも見えた
しかし、さすがはノゲイラ、決して極めさせない
押されながらも最後の一線は決して越えさえ無い
途中、ノゲイラのガードを怖がって横井が躊躇する場面も見られた
寝ているノゲイラの威圧感は凄まじかった
横井も奮闘したのだが、逆にノゲイラの安定感が光る内容となってしまった
そんなところで1R終了
なんと、これが本日はじめて(そして唯一)の2Rまで行った試合だったりする(笑)
選手のテンションの高さが分かっていただけると思う
2R目は打撃を使い出すノゲイラ
嫌がる横井
ノゲイラは打撃で圧倒してからの差し合いで、ついに4点ポジションを取る
ヒザ、ヒザ、ヒザと攻めるノゲイラだが……
突如、身体を反転して横井に巻きついた!
どよめく観衆
正直、俺にも何が起きてるか分からない
(ちょっとリングが遠すぎるんだよぉぉ(泣))
?????
気が付くと横井がタップしていた!
マジか!
まさにノゲイラマジック!
ファンタスティック! ミステリアス!
やばいよ! コイツやばいよ!!
後で調べたところによると
がぶり返しの要領で上四方へ。
そのまま首を締め上げてギブアップを奪った。
ということらしい……
これをマジックと言わずしてなんと言うか!
魔術師健在!
勝者アントニオ=ホドリゴ=ノゲイラ 2R1分25秒 フロントチョークスリーパーホールド
【2回戦に向けて:ノゲイラ】
抜群の安定感を見せたノゲイラ
サップの打撃も
ミルコの打撃も
横井の若さも
全て受け止めた上で勝って見せたノゲイラ
もう、ノゲイラに勝つには勢いや偶然といったものでは難しいことが証明されている
(逆説的にヒョードルのコンプリートぶりが際立つのだが……)
このうえない形で2回戦進出となったノゲイラ
やはり優勝候補筆頭である
■王者――第8試合 ヒョードルvsコールマン
エメリヤーエンコ=ヒョードル(レッド・デビル/ロシア/182cm/108.5kg/27歳)
マーク=コールマン(ハンマーハウス/アメリカ/185cm/105.5kg/39歳)

この演出が気に入った
ヒョードルの静かなテーマに合わせて、場内に“雪”が降った
しばし、戦いを忘れ、夜の雪に心を洗われる
雪の中を、ヒョードルがゆっくりと歩いてくる
無表情な、氷の仮面
新旧王者の直接対決
これはどんなスポーツ、競技でも避けられない、いわば宿命の対決である
年齢差12歳とはいえ、コ−ルマンもPRIDEで一時代を築いた男
そう簡単に勝たせてくれるとは思えない
それでも、なぜか俺はヒョードルの勝利を確信していた
ミルコにも、ノゲイラにも、一抹の不安を感じていた俺だが
ヒョードルには負ける要素が無かった
打撃で牽制するヒョードルを弾丸タックルで捉え、押しまくるコールマン
ヒョードルは冷静に対処するが、なんとバックを取られる!
チョークを極めようとするコールマン
大ピンチである
だが、それでもヒョードルは落ち着き払っていた!
もちろん、俺も安心して試合を見ていられた。
何故ならばヒョードルの表情が1ミリ足りとも歪まないからである
そして、ヒョードルはその状態から普通に起き上がった!
圧倒的危機を全く慌てずに脱出するヒョードル
なんというメンタルの強さ、そして身体の強さだろうか
そして訪れた下から腕十字というノゲイラ顔負けのフィニッシュ
素晴らしい極めの速さだった
しかし、それも不思議と、当然のことのように見えてしまう
後ろを取られ、上を取られても……それらを跳ね除けて勝利する
強い。
強いとしか言い様が無い
やはりヒョードルは王者に相応しいコンプリートファイターだ
前回の覇者コールマンもチャンピオン対決に相応しいファイトを見せてくれたと思う
真っ向勝負、諦めずにタックルする姿に王者の誇りを感じた
その心はヒョードルに伝わっただろうか?
良い試合だった
勝者エメリヤーエンコ=ヒョードル 1R2分11秒 腕ひしぎ十字固め
【2回戦に向けて:ヒョードル】
バックを取られてしまったヒョードルだが、決してそれはマイナス評価となるだけでは無い
これは裏を返せば“バックを取っても勝てない”ことを意味する
藤田の打撃を貰っても、そのまま押し切って勝ったヒョードル
ノゲイラにスイープされた時も、それをさらにスイープしてポジションを保ってみせた
王者は磐石だ
全ての面で越えなくては、この山は登れない
■総括――逆境論
確かに、ピンチに陥らずに勝つのが最高の勝利であろう
だが格闘技は、MMAはそんなに甘くない
あのミルコですら一瞬のランデルマンの一撃で全てを奪われたのだ
その衝撃が残っているうちだからこそ……まぐれや偶然、不利な状況をものともしないノゲイラとヒョードル、両王者の強さが光ったのだ
自分が有利な状況で勝つのは当たり前である
『――という展開になれば●●の勝ち』
『――させたら△△には勝てない』
それは、本当の強さではない
どんな状況でも勝つ
劣勢でも、不利でも、それらを呑み込んで勝つ
逆境に強いものこそが真の強者だ
ノゲイラ、ヒョードルはそれを見せ付けた
王者はこの2人から現れる気がしてならない
最後に、全ての試合が完全決着だったことも挙げておきたい
しかも、8試合中7試合が1R決着と言う素晴らしさである
ダラダラした試合、判定に持ち込むことを狙ったような腑抜けた試合は一切無かった
あのヒョードルですら(笑)前王者を最大限にリスペクトして一本勝ちを狙っていった
高いプロ意識がぶつかりあった、素晴らしい大会だった
勝者にはもちろん、惜しくも敗れた者にも最大限の賛辞を送りたい

お前ら、男だ!
【完】